社会福祉法人 渡保育園 子どもたちをまんなかに
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ふくろう園長のひとりごと


『おれたちの園舎ばこわすなー』


12月から始まった、新園舎建設工事が今急ピッチで進められています。例年にない寒さだった今年の冬も、最近漸く春へと向いはじめたようで、1日2日おきに雨が降り現場責任者のAさんは、「7日間ほど遅れが出ている」とボヤキながらも「天気さえ回復すれば、すぐ予定どおりになりますよ」と自信ありげです。
築後36年の旧園舎は、相当にあちこちが痛んでいました。それに定員60名の時の建築で、定員90名となり実質100名を越す現状には、大変きゅうくつな建物で、思い切って全面改築をすることになったのです。
いま園児たちは、隣接の村営運動公園に設けられた仮設園舎で変らず元気さを発揮しています。
12月1日園舎取りこわしのショベルカー・クレーン車の最初の一撃が“バギュリッ”“バギュリッ”と凄じい音を響かせた時、36年前この園舎建設に大変な苦労をしていた初代園長の亡父が想い出され、申し訳ない気持ちで一杯になり心の中で手を合わせました。
あとでお茶の時、現場責任者のAさんが言いました。「上の運動場から見ていた園児さんに“おれたちの園舎ばこわすなー。”と叫ばれました。これ言わるっとが、一番辛かっですたい。」と1級建築士の資格を持ち、会社から絶対の信頼があるといわれている40前らしい若さの漂う生真面目なAさんは、本当に辛そうに話してくれました。去年11月「園舎とのお別れセレモニー」をおこない、園児たちに園舎取りこわしと新しい園舎建設について1/100の園舎模型を示しながら納得を得る努力をした積りでした。
取りこわしの現場は、ショックが大きかろうと出来るだけ見せない気配りもした筈でした。しかし、園児たちに絶大な人気のある大型のクレーン車、ショベルカー、ニプラ、ユンボ等が何台も勢揃いする工事現場です。園児たちがこの好機を見逃す筈はなく、それはまたある意味又とない経験ともなるのです。
「おれたちの園舎ば、こわすなー」の叫びに含まれる愛着と、理由が分かっていても叫ばずにおれなかった子どもたちの心情を思い、思わず涙ぐんでしまいました。
今回から厚生労働省の方針で、2カ年間の工事となり初年度の今年度は、3月末50%実施を目指しています。
毎日変わる工事の様子は、子どもたちの目にふれる場所でおこなわれています。きっと、基礎工事から竣工するまでの様子を見ることの出来るこの経験は、園児たちに多くの“学び”を提供してくれると思います。
また、両親をはじめ大人の働く現場を実際に目にすることの少ない今の園児たちにとって、晴れの日も雨の日も雪が降り北風に凍え上がるような寒い日も働き続ける工事現場の人たちの姿は、園児たちの心に焼き付けられることだろうし、きっと何か大切なものを残してくれる筈だと思っています。

                             平成18年2月


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